2007年8月、みんみんゼミのうるさい藪の中、オレはがんばって悪を倒し続けた!
パンチ繰り出しすぎで腕も肩いたくなってきた。
おまけに蚊にはくわれるし、つらいなぁ。
「ハイ、カット!いいねぇ。くぅ〜しびれる。「ロマン レッド」かっこいいよー!いかす!そのデスパー総督の基地に乗り込む前の、怒った表情、もらった。」
監督は戦隊モノを撮らせたら5本の指にはいるか、どうか?
・・・というごく小規模範囲だけのちまたでうわさの、
山本八兵衛という時代劇がかった名前の監督だった。
「監督ぅ〜オレいまだに自信ないっすよー、怒り顔が半べそ顔に見えるって友達に言われちゃってるし。ほんとにこんなんで大丈夫なんっすか?」
「うんうん、そういう細かいことは気にしなくてもダイジョブ。
君は君で半年よくやってくれたよ。いよいよ最終回まであと、4回だ。
体力勝負だからね。「ロマン レッド」 がんばってくれよ」
監督ニコニコして言う。いつもニコニコなんだこの監督。
しかし、いいかげんだなあ。ちゃんとモニター見てくれたんだろうか。
それにしても、残すところあと1ヶ月、戦隊者のヒーローとして半年よくがんばってきたなぁ。
えらいぞ。オレ
あ、オレ、ユウジ、今「ロマン レッド」やってる。
戦隊モノといっても、全国ネットでもなんでもなく、ローカルで深夜放送の戦隊モノなんだよね。
なのでホントはちょっとさえない!
これ終わっちゃうと、またバイトしながらオーデションの日々が待ってるのさ。
監督の携帯にに着信が入った。あいかわらずおっちょこちょいな、着信・・・笑っちゃう
「あ、どえりゃー麺のCM?」「はいはい、今いきますよ。こっちの撮影はもうOKなんで」
「監督、今のシーン、あれでいいんですか?1発勝負で、OKですか。」
「うんうん。ダイジョウブよ 「ロマン レッド」 、こっちでテキトウにつなげとくから。」
「じゃワタシ、約束あるんで、今度、あさってね。」
え?カントクゥ。おぉいっあんなんでいいの?
「どえりゃー麺」のCM撮影に出かけて行っちゃったよ。
3流カントクゥ!
・・・ということで今日の撮影は終了だ。
ロケバスで着替える。
それから、いつものスマイルを見る・・・みずきちゃん。
ポケットから写真を取り出してにんまりしちゃってたら
よこから「ロマン イエロー」が覗き込んだ。
「おっ、ユウジさん、アキバ系ですか?
か〜いいなぁ。ユウジさん、応援してるんっすか?」
「えへへ。まあな、浅野みずきちゃん。どう?いかしてるだろ!
この太ももといい、ぽっちゃりぐあいといい、ネどうよ」
「う〜ん・・・ちょっとぽっちゃり通り越して「どすこい」入ってないっすか?
僕やっぱり、長山まゆみがいいや。」
ロマンイエローは正統派アイドルが好きらしい。
「こらー、どすこいって!イエロー、お前わかってないな。アキバ系のおねえちゃんは身近にかんじられるからいいんだ。ステージなんかもう、目の前よ。
目の前。で、話しかければにっこりこたえてくれるし
いいぜー・・・最高。
ア、こうしちゃいらんない!今日みずきちゃんのミニコンサートと握手会あるんだ。オレもう行くわ」
「ユウジさん、ユウジさんってなんかフツーの人っすね。とってもヒーローやってる俳優に見えない。」
「あはは。まあな。しょうがないよ、おれたち半分素人だしさー。じゃまたなー」
そういって、オレはバイクに飛び乗った。
うしろでまいったと言う顔してイエローが手を振っていた。
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