ここはとある下町の工業地帯、町はずれにはどぶ川が流れている。
空気のにごった、どんよりした空。
他人事はほおっておきそうな、それでいてすべてを突き放そうとしないような、時間を気にしない人々が行き交う、そんな町だった。
「しゅーっ!!」蒸気とともに川沿いに小型車のタイムマシンが現れる。
犯罪者、坂田信夫、マシンから降り立つ。
「あーっ、さっきはヤバかったぜ。あのデカ、撒くのに苦労しちまった。おかげでタイムマシン型車にうっかり乗っちまった!」
坂田、まだ息が切れてる
「・・・ここは・・・どこだ?何年なんだ?」
坂田の横を太ったエプロン姿のおばちゃんが通り過ぎる
「すみませーん、あのっ。ここ、どこですか?」
「東岸町だよ。アンタ道にまよったの?」
「え、あ、はい。あのっ、日本ですよね?」
おばちゃん、なんだろねえこの人はと言う顔をした。
「そうだよー、どっからきたんだい?」
「あ、はい。2050年から・・・」
と言ってはっとわれに返り
「あ、いえ。どこか泊まるところはないかと思って」
おばちゃん、うーん。としばらく考えて
「ここら辺はホテルはないのよー。そうだ。うちは下宿屋なんだけど
ちょうど部屋があいてるのよ。1日でも2日でもどうぞ。安くしとく
よ。」
「はい、助かります」
工場の寮が並ぶ細かい通りに「月並壮」はあった。
木造の下宿屋で2階建てで今にもこわれそうな雰囲気があった。
おばちゃんは坂田を部屋に案内して鍵を渡しながら
「じゃ、坂田さん、あんたの部屋はここね。乗ってきた車は駐車場のはしっこにいれといていいから。・・・それと、悪いんだけど、
前金に1万もらってもいい?ここのルールなんで」
「あ、は、はい」
坂田、あわててごそごそとポケットをさぐる
「これで・・・」1万円札を出す。
「ちょっとちょっと、アンタ!冗談よしておくれよ!こんなおもちゃみたいなお札よこして!」
1万円札にはめがねのぽっちゃりしたおじさん
「ドクター門松」の肖像画がついていた。
「え?ホンモノですよ。コレ。」
「う〜ん・・・こんなお札見たことないよ。わるいけどコレじゃ
ダメだよ。」
(えーっ?マジかよ!!)坂田平静を装いながら「そう・・・ですか・・・」
「いいよいいよ。しばらく待っててあげるから。じゃ、何かあったら言ってね」
そういい残しおばちゃんは2階の管理人室に去っていった。
「このお金が使えないって?空き巣して危ない思いしてやっと手に
入れたこのお金が・・・いったいここ何年なんだ?」
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